番組撮影も無事終わり、荷物を取りに楽屋に戻る中。

「いのっち」
「ん?どーした岡田」
たかたかと後ろから駆けてきた岡田に振り向いて答えてみれば、最近世間的に人気急上昇中のやたら綺麗な笑顔で笑って言った。
「あんな、俺も誕生日プレゼント・・・」
「おう、もう何が出てきても驚かないぜ俺は!」
「いや・・・俺実は特に何も用意してきてなかってん」
「あ、そうなのか?けどそれならそれで別にいいんだぞ?」
ちょっと申し訳なさそうにして話す岡田に、井ノ原は慌てて手を振る。
別に強制して貰うようなものでもないし、井ノ原としては忙しいだろうにわざわざ昨日メールよりも早いからと誕生日おめでとうと電話をくれただけで素直に嬉しかった。
「でも、健くんたちからプレゼントのこと聞いて思いついたからさっき作ってん。急ごしらえやけど・・・」
「・・・ってお前も初心に戻ったのか」
もしかして、と過ぎる嫌な予感。
こくりと頷いて岡田が差し出したものは。
「おん。はい、これ」
「一体お前は何券なんだ・・・って、あれ?これ真っ白よ?」
井ノ原が受け取ったのは、やっぱり予感どおりの十枚つづりの紙。
急ごしらえ、と言うだけあってそれの作りは剛がくれた券と大差なかったが、しかし唯一違う点は、その紙面には何も書かれていないことだった。
その事に疑問を示せば、んふふ、と彼独特の笑い方をして岡田は言う。
「おん。それはそれでええねん。好きなように書いてくれたら」
「え?」
あんな、と少しだけ照れたような顔の岡田は券の説明を始めた。
「どんな券にしたらええかすぐには思いつかんかったから、だったらいのっちが好きなこと書いてくれればええかって思って。その方が使い勝手ええやろ?」
「つまりなんでも券ってとこか?」
「まぁそうやね。俺の出来る範囲であればなんでも」
「はぁ〜なんつーか目から鱗?岡田愛してるっ!!」
「健くんと剛くんの券があれやからなぁ・・・」
むぎゅっと抱きしめられて、どうやら二人の券の内容を知っているらしい岡田はそう言って苦笑する。
そんな彼に、井ノ原はいつも以上の笑顔を意識して。
「さんきゅーな、岡田。大事に使わせてもらうから」
と、ちょっと照れつつ言ってみれば、
「どういたしまして。それと、誕生日おめでとう、いのっち」
そう答えた岡田は満足そうに綺麗な笑顔を向けてくれた。





■□as ever