岡田だけが他の仕事が押していてまだ来ていない楽屋の中。

「面白いプレゼントだよね、それ。あいつららしいって言ったらそうだし、逆に新鮮かも」
「つーか逆に思いつかねぇよな、そんなの」
剛健コンビから貰った誕生日プレゼントのことを坂本と長野に話した井ノ原は、思いっきり二人に爆笑された後にそう返されてどう返したもんかと悩んでしまった。
ちなみに当事者である剛健コンビはただいま外出中である。
「あ。じゃあ坂本くん、俺たちも初心に返って何か券あげよっか」
「おっ、いいねぇ〜くっだらねぇヤツな」
「あのなぁ〜」
悪乗りし始めた二人にふくれっつらで返す井ノ原。
それをひとしきり笑ってからごめんごめん、と笑いを苦笑に変えて、長野が言った。
「井ノ原、この後予定ないだろ?」
「え?うん、まぁ」
どうやら井ノ原のスケジュールを把握しているらしい長野の断言的な言葉に曖昧な返事をして頷く。
「良かった。じゃあ夕飯食べに行こうよ。俺オススメのとびっきりいい店予約しておいたからさ。一日遅れのバースデープレゼントってことで」
「マジで?ナガノくぅ〜んvv」
「よしよし。ちなみに車の運転とお勘定は坂本くんね」
「あ゛っ!?」
てっきり二人で行くもんだと思っていたらしい坂本が、自分に話が振られたので思いっきり驚いたような顔で素っ頓狂な声を上げた。
声裏返ってる裏返ってる。
「っておいっ、俺に選択権はねぇのか!?って言うか、お前店選んだだけじゃ・・・」
「ん?何?なんか言った?坂本くん」
長野の相手に有無を言わせない妙な迫力の笑顔の前では、流石の坂本もそれを諦めざるをえないわけで。
「・・・なんでもないです」
「そう?」
がくりと肩を落してそう答えてしまう坂本に、勝ち誇った顔の長野。
その鮮やかな手口、流石は長野博。
俺、絶対この人怒らすのだけはやめよう、うん。
変な決意をしてしまう井ノ原である。
「だいたいさ、坂本くん井ノ原の誕生日プレゼントとか用意してたわけ?」
「え?」
どうせ誕生日プレゼントの事なんて何も考えてなかったんでしょ?と長野が聞けば、どうやらそれは図星だったらしく坂本はうーとかあ〜とか誤魔化した挙句、あっはっはとわざとらしく笑った。
・・・この人は。
「じゃあ長野くん、一番高い料理ガンガン頼もうぜ♪折角の坂本くんのおごりだしぃ?」
「あ、いいねそれ♪ちょっと店に電話して裏メニュー頼んでおこうかな」
「ちょ、ちょっと待てって!!それだけは勘弁してくれっ!!」
「あはあは」
「あははは」
本気で焦って必死にそう頼む坂本に二人は腰を追って大爆笑する。
冗談だよ坂本くん、と長野が言えば、お前のは冗談に聞こえねぇとふてくされた顔。
そんな風に相変わらずの二人に、井ノ原はいつも以上の笑顔を意識して。
「あのさぁ。坂本くん、長野くん、ありがと」
と、ちょっと照れつつ言ってみれば、
『・・・どういたしまして』
そう声を揃えて答えた二人は満足そうに暖かい笑顔を向けてくれた。





■□VS.Junichi Okada