白い白い、穢れのない真っ白な世界。
純白の羽が無数に飛び散り、サカモトの視界を真っ白に染め上げた。
思わず瞳を閉じたサカモトが次に瞳を開いた時にはその変化は収まって、
目の前にはただ茫然とした追っ手の姿。
それと。
「なん…だよ、それ…っ!!」
いつの間にそうなったのか。
自分の背にある翼が純白のそれであることに気づいて、サカモトは愕然と体を折って地に膝をついた。
「こんなの望んでなんかねぇ…っ!あいつらがここに居ないのなら、こんなのに何の意味がある…!?」
こんなのは自分が求めていた…思い描いていた幸せなどではない。
悔しさと悲しさに唇をかんで涙を流し、堪えきれずに嗚咽を漏らす。
涙を染み込ませた大地に無数に残っていた『彼ら』の羽を愛おしく掻き抱いた。
神はなんと無慈悲なことをなさるのか、と。