その昔、一人の悪魔と五人の天使がいました。



 一人の悪魔と五人の天使は種族を越えてとても信頼し合える仲間でした。

 心優しい悪魔は自分が悪魔であることを嫌い、常々天使になりたいと思っていました。

 自分が天使になれば六人で幸せになれると、そう信じていたのです。

 また五人の天使たちもそうであったならいいと願っていました。

 何せ天使と悪魔が交流を持つなど、この世界ではあってはならないことだったからです。

 そんなわけで六人は悪魔が『天使になる方法』を探していました。

 しかし、ある日六人の交流が神様にばれてしまい神様は大層お怒りになりました。

 六人に追っ手を寄越し、悪魔は捕らえて処刑の上五人の天使は牢に入れるようにと命じました。

 その事態に六人は世界の果てまで共に逃げました。

 でもこの世界は全て神様が創ったものです。

 到底逃げ切れるはずもありませんでした。

 追っ手にあっと言う間に追い詰められた六人には為す術など当然なく、

 しかし五人の天使たちは一つだけ、悪魔を助ける術を持っていました。

 五人の天使は神様に祈りを許された天使だったのです。

 五人全員で祈れば、悪魔を助けることは可能なのです。

 悪魔もその事を知っていました。

 しかし、決して彼らにそれを祈らせることはさせませんでした。

 何故かと言えば、その祈りは天使五人分の『命』を糧としなければならない祈りだったからです。

 悪魔は彼らを犠牲にした上での幸せなど欲しくなかったのです。

 だから最後まで、五人の天使たちはその力を使いませんでした。