TWENTIETH TRIANGLE TOUR 戸惑いの惑星

2017.02.07.Tuesday マチネ レポート。
※カーテンコールのみ東京楽(2/14)分も含みます。台詞は全体的にニュアンスで!

◆続・迷い病の世迷言。


長谷川は手紙代行業を始めた。
仕事を始めて三ヶ月が経つが、入って来る依頼のほとんどが気の重くなるような内容の手紙ばかりであり、ラブレターのような甘い手紙の依頼が来ることは極稀だった。

例えばとあるマダムの、夫へと宛てた手紙の依頼。
明らかにネガティブな内容の手紙をポジティブに書いて欲しいと言われ、長谷川は悩んだ末、いくつかの案を出す。
が、そのどれもマダムのお気に召すことはなく。
結局、口で伝えた方が早いとマダムは依頼を断って帰って行ってしまうのだった。

またある時は不穏な空気を纏う男からの果たし状の依頼。
「とにかく漢字を多く使ってくれ。平仮名は女子供が使うものだし、カタカナは売国奴だ。書き出しは絶対に漢字にしろ」
そんな無茶な注文に対し、長谷川が唸りながら出した言葉は。

「・・・・・・前略」

果たしてどんな反応が返ってくるのかと縮こまりながら待っていた長谷川の耳元で囁かれたのは。

「――――――――――――――いいじゃねぇか」

お前が書くものなら安心だ、後は任せた、と颯爽と帰っていく男。
長谷川はつい頭を抱えてしまうのだった。

NUMBER:オレじゃなきゃ、キミじゃなきゃ

☆★☆

ジャズバークラブ33。
カウンターで酔いつぶれていた三池の隣に、偶然由利がやってくる。
お互いその存在に気付くが、研究室での一件があった為、自分がいると邪魔だろうと由利は席を移ろうとする。
すると意外なことに、三池はここにいろよ、と由利を引き止めた。
どうやら由利に聞いて欲しい話があるらしい。

「あんたの言った事は本当だったよ」
そう言って彼が語り出したのは、先日研究室で由利が三池に話した、三池の絵によって大成功をおさめた男の話だった。
あの後、三池の元に着慣れない高価なブランド物の服に身を包んだ男が表れ、似顔絵のおかげで事業に成功し大金が手に入った、せめてものお礼だ、と言って封筒を置いて行ったのだと言う。
後で中身を確認するとそれには金が入っていて、あまりの大金に使い道が分からなかった三池は、とりあえず酒でも飲もうとこのバーに立ち寄った。
マスターが昔音楽をやっていた事もあり、このバーには楽器が置いてある。
楽器が扱える三池は、何の気なしにそれを手に取り、演奏を始めた。

そして、その瞬間は訪れる。

突然開かれたバーの扉。
駆け込んできた、一人の女性。
三池は彼女と目が合った瞬間、その一瞬で。
恋に落ちた。
それは彼女も同様で。
二人は瞬く間に愛を深め、幸福な時間を共に過ごすのだった。


NUMBER:Sing!

☆★☆

そしてある時。
三池は彼女の絵を描きたいと思った。
幸福な日々を過ごす中で欲が出たのだ、と彼は言う。
三池は彼女に了承を取り、彼女の似顔絵を描いた。
しかし完成したその似顔絵を見た途端、彼女の表情は暗く沈んでしまう。
慌てた三池はもう一枚描かせて欲しいと彼女に頼み、もう一枚の絵を完成させたが、それを見た彼女は今度、氷のような涙を零して。
以来、彼の元から姿を消してしまったのだった。

たった一通の、手紙だけを残して。

☆★☆

彼女からの手紙を取り出した三池は、それをマスターに読み上げるよう頼んだ。
マスターは突然の指名に驚いた様子だったが、三池に促され、神妙な面持ちでそれを読み始める。

そこで告白されていた内容はこうだ。
彼女は三池と出会う前、それ以前の全ての記憶を失っていた。
しかし三池が描いた似顔絵を見た途端に記憶が蘇り、その全てを思い出したのだと言う。
それゆえに。

『私の世界に、あなたはいません。だから私は、あなたのもとを去ります』

全てを思い出した彼女には、今まで彼女が生きて来た別の世界があって。
その世界に三池は存在しない。
だから彼女は三池の下から姿を消したのだ。

その手紙を読んで以来、三池は絵が描けなくなっていると言う。
彼女を失ったことで、彼の心は空っぽになってしまったのだ。
「だからお前の研究には協力できない」と言う三池に、由利はどうしてか複雑な表情を見せる。

「・・・辞めたんだ。正確には教授には保留にして欲しいって言われてる」

そう。
由利もまた、失意の中で、研究を辞める決意をしていたのだ。

「俺の話も聞いてくれる?」
そう伺いを立ててから、由利は三池に事の経緯を話し始めるのだった。

☆★☆

超心理学部の研究室。
由利の決断に、教授は寂しげな呟きをこぼした。
「君が辞めてしまったら、とうとうこの学部も私一人になるな・・・」

由利が教授に辞表を提出した理由は二つあった。
一つは背中を押してくれた妹の唐突な死。
彼女の病を知った時には既に手遅れの状態で。
そんなことになるまで気づいてあげられなかったことを由利は悔いていた。
そしてもう一つは、彼の元に届いた母親からの手紙である。
そこに書かれていたのは、過去の奇跡の真実だった。
自分は超能力でスプーンを曲げたのではない。
実は皆がテレビに夢中になっている間に、スプーンをテーブルに押し付けて曲げたのだ。
まさか今の今までそれを信じ続けるとは思わなかった、ごめんね・・・と。
手紙はそう結ばれていた。
ようするに由利は、研究を続ける理由を両方とも同時に失ってしまったのだ。

「教授、教えてください。人生は悲劇なんですか、喜劇なんですか」
「シェイクスピアは【神は我々を人間にするために何らかの欠点を与える】と言っている」
慰めにならない教授の言葉に由利は肩を落とすのだった。

ただ一つ、気がかりなことが由利にはあった。
妹が残したものの中に、宛名のない、封がされたままの手紙が一通残っていたのだ。
それを教授に相談すると、彼はこう言った。

「宛名のない手紙は永遠に宇宙をさ迷い続けるか、あるいは、誰もが想像もできない形で主の元に届く」と。

******☆******☆******☆

後半のあらすじはさらに長い。そして俺のまとめきれていない感がすごい。(笑)
まぁでもそもそも後半は場面転換が多いんですよね。
なので感想文(というかもはや説明文では)も必然的に長くなりますのでどうぞあしからず。

と、言うわけでさぁ【迷い病の世迷言】いよいよ後半戦に突入しますよ!
【迷い病の世迷言】後半と言えば、そう!みんな大好きマダム博とチンピラマサのご登場です!!(思わず強調)
手紙代行業を始めた長谷川の元に訪れた客として二人が登場するわけなのですが、これがそりゃーもーとんでもなく個性的なお客様×2でございましてですね。(笑)
ゆるふわウェーブに大きなサングラスをかけた無茶ぶり骨太マダムな博さん。(ちゃんと高めの声で優雅にしゃべるよ!)
確か化粧はしていなかったかと思うんですが、なかなかのハマリっぷりでございました。(笑)
博さんのマダムは安心・安定感があるよね!(何)
一方の坂本さんはTHE☆チンピラ
はまりすぎてる!はまりすぎてるよマサ!むしろ昔取った杵柄だよ!(コラ)
カッコいいチンピラじゃなくてダサいチンピラなところがまたいいよねうん。(笑)
そんな二人に振り回されてぬぁーーーっ!!ってなる長谷川くんはかわいそかわいいですはい。(笑)
というかこの舞台、長谷川くんは常にかわいそかわいい感じですよねうん。(笑)
不条理にも負けず(笑)ひたすら頑張る長谷川くんがオレキミを歌い出してお話は次のシーンへと移ります。

さて、セットチェンジを経て始まる次の場面は【ジャズバークラブ33】での三池と由利のお話でございます。
またツートップパートかと思いきや、カウンターの奥にはバーのマスターに扮した井ノ原さんもおりまして、途中で三池が歌い出す【Sing!】を由利と一緒にハミングしたりもします。
ここで歌われる【Sing!】は恋の喜びや幸福を歌い踊る素敵なナンバーなわけですが、その後の展開を思うと非常に切ない場面でもありますなぁ。
でも個人的にはすごく好きなシーンでもあります。
あ、そういえばマスターは【彼女】からの手紙を読むという重要な役目も担っておるんでしたな。
(実際は長谷川が書いた)手紙を読むマスターを井ノ原さんにしたのはやはり含みを持たせたんでしょうなぁ。
【彼女】からの手紙を読んで以降、絵が描けなくなっていると言う三池。
そんな彼に実は自分も話したいことがある、と言い出す由利。
研究を辞める決意をした由利とそれを惜しむ教授の研究室でのやりとりが次のシーンとなります。

そんなわけで舞台は再びの場面転換を行い、とある大学の研究室へと移ります。
ここの場面といえばやっぱりあれですかね、由利ゲラーこと由利のオカン@マーサ。(笑)
あまりのインパクトにこれは悲劇なのか喜劇なのかと思わず考えざるを得なくなるこの感じ。(をい)
てかビジュアルはもちろんなんですけども、あの「ごめんねぇぇ~・・・」の言い方が!絶妙すぎてほんともうなんか!なんか!(なんだよ・笑)
いやーほんと由利ママの印象が強すぎて大変アレな場面でございますですはい。(笑)

そして最後に、教授が終盤の展開に繋がる非常に重要な言葉を残して【迷い病の世迷言】後半は終了となりまっす。
お疲れ様でしたー!!(笑)

◆狭間の世界。


ジャズバークラブ33にて。
「やっぱりおかしいよ!」と由利は言った。
由利が辞表を出したのはつい昨日のことで、長谷川がその会話の内容を書けるはずがないと言うのだ。
また三池も、彼女との話はすべて現実のことであり、それを長谷川が知っているはずはないと不審がる。
そしてそのことは手紙を読んだマスターも知っているはず、とマスターを探すが、ついさっきまでそこにいたはずのマスターの姿が見えない。
そこで由利は、自分たちが置かれている状況の不自然さに気づいた。
自分たちはいつの間にジャズバークラブ33に移動したのか。
ついさっきまで、病院のロビーにあるソファに座って原稿を読んでいたはずだ。
それなのに、何故。

動揺する三池に対し、由利は状況を冷静に分析し始める。
そして彼は、一つの仮説を立てた。
この世界は現実ではなく、長谷川の作った物語の中なのだ、と。
その証拠に、つい先ほどまで二人が読んでいた長谷川の原稿は真っ白になってしまっている。
パラドックスが起きてしまう為、長谷川の物語の中に原稿は存在できないのだ、と由利は言う。

「或いは、俺たちは長谷川が書いた物語の登場人物でしかないのかもしれない」
「その仮説は信じたくも無い」

とにかくこの場所から出たい三池は慌てて出口を探すが、本来あるはずの場所にそれが無く、狼狽する。
由利は以前、長谷川が話したディズニーランドのクラブ33の話を思い出し、トイレの扉が唯一の出口であると言った。
そしてそのトイレに背を向けたまま、自分は仮説を立てた、扉を開く係はお前だ、と三池に指示する。
三池は納得が行かない顔をしたが、不承不承了承し、トイレの扉に手を伸ばした。

一度目、それを開くと発せられたのは強烈な光と音。
慌てて扉を閉めた三池に、由利は再度それを開くよう指示する。
由利にあごで使われ不満顔な三池が、二度目に扉を開くと今度、そこには夜空が広がっていた。
先ほどとは打って変わって美しい光景に見とれる三池に、由利はそれは夜空ではなく水面ではないかと問う。
確かにそれは由利の言うとおり、夜空ではなく水面のようで、そこに銀の月と星が映っている様だった。
それは以前に長谷川が語った、クラブ33のトイレの話とまったく同じ状況だった。

「お前すごいな!」
感嘆の声を上げる三池に、やはりトイレに背を向けたままの由利は一旦扉を閉めるよう指示する。
そこでまた由利は一つの仮説を立てる。
この世界は宇宙の外側にある。
そしてこの扉から現実の世界に戻るには、必ずここから出られると強く思い、扉を開くのだと。
覚悟を決めた三池は、この扉は出口に繋がっている、と唱えながら扉を開いた。
そして。

三度、開かれた扉から出てきたのは。
まばゆい光を背にした長谷川だった。

NUMBER:ちぎれた翼

☆★☆

「おい、出口じゃなくて長谷川が出てきたぞ!?」
「いや、これでいいんだ」

長谷川がこの世界に来ることと、自分たちがこの世界から出ることは同義だと由利は言う。
ただ長谷川には二人の姿が見えていない様子で、見えない力に弾かれ、空間をさ迷う彼の後を二人は懸命に追った。
しかし二人は長谷川を捕まえることが出来ず、その代わりに彼が残していった箱を手に入れる。

箱の中にはオルゴールと手紙が入っていた。
お互い手紙には良い思い出が無いという理由で手紙を後回しにし、三池は手に取ったオルゴールを開いた。
すると流れたのは聞き覚えのある曲のワンフレーズ。
これだけか?もう一度聴きたい、と三池がオルゴールのネジを探すが見当たらない。
由利に言わせると、これは自分たちにこのワンフレーズを聞かせるためだけのものらしい。
続いて手紙を読んでみると、それは長谷川から、二人へ宛てた手紙だった。
それにより、二人は驚くべき真実を知ることになるのだった――――。

******☆******☆******☆

視点は現在の由利と三池に戻ってきたはずなのに、おや、ロケーションがおかしいぞ?
と、言うわけで物語もいよいよ終盤、核心に迫っていく怒涛の展開へ突入しますぞ!

この場面、前半は長谷川の作り上げた世界に迷い込んでしまった由利と三池がわちゃわちゃしながら出口を探すシーンがメイン。
つまりは今再びのツートップパートですありがとうございます。(笑)
前述しましたがこの二人、完全に由利優位の力関係なので、ここではまさに文字通り由利に顎で使われる三池が見られます。最高です。(笑)
ビビリまくりながらも由利の指示どおりに動いてあれこれ頑張る三池と、冷静に状況を分析して仮説を立てるけども絶対にトイレの方は見ない由利。(笑)
由利が話す内容が難解過ぎて理解出来ない三池に対し、「・・・うん。」っていう絶妙な間をもって頷く由利って言うのが何度か差し込まれていてそれもまた最高です。(笑)
(そういえば集合的無意識についての説明があったのは確かここのシーンだったと思うのですが、詳細についてはさっぱり覚えておりませんのでざっくり割愛させて頂きますですはい・笑)
ちなみにここのシーンには由利@博さんの難解な台詞が多く、これ覚えた博さんすげーなと思っておりましたらば、カーテンコールで坂本さんが全く同じことを仰ったもんで、ですよね!!って全力で同意しました。(詳細はカーテンコールのページで!)

と、そうそう。一番最初にトイレの扉を開いた時の光と音はすごかったよね!さすがにあれはびっくりするわ!
ついったでちらほらつぶやかれていたびっくりするシーンはこれだったのかー!と観劇後に一人納得したとかなんとか。(笑)
そして前述しました『あそこのシーン』こと長谷川召喚シーン(笑)がここですよ。
三度目に開いた扉から長谷川が登場→ちぎれた翼の流れはほんと最高でした・・・やっぱりここで出して来たかー!たまんねーなおい!!って言う。(語彙力の無さが酷い)
歌詞のシンクロ具合も良いし、ちぎ翼スキーとしてはほんとたまらんシーンでございます。

さて、最後に長谷川が残して行った箱を開くと、中から出て来たのはすっかり見慣れた封筒とオルゴール。
オルゴールから流れてきたのはもちろん【Change Your Destiny】のワンフレーズなわけで。
遂に物語の数々の謎が紐解かれる、真実が書かれた長谷川からの手紙の内容については・・・次の項目で!(笑)

◆長谷川からの手紙。


長谷川は手紙代行業を続けることで、人格喪失症の症状が悪化していることに気づいていた。
他人が自分をすり抜けていく度に、少しずつ失われていく自分。
けれども仕事を辞める事もできないままでいたある日のこと。
彼の元に、彼女はやってきた。

学生時代大好きだった、長谷川が渡せなかった手紙を書いた相手。
彼女は愛する人に宛てた手紙を書いて欲しいと、長谷川に依頼した。
長谷川はこの依頼を受けてはいけないと思いながらも、結局引き受けてしまう。
何故ならば、彼は未だにその彼女のことが大好きだったからだ。

彼女は長谷川に全てを話した。
学生時代、先輩に恋をした話。
吹奏楽部だった彼女はその想いを曲にし、譜面にしたこと。
その曲を気に入り、譜面が欲しいと先輩が言ってくれたこと。
けれどその先輩は卒業間近に父親の仕事の都合で転校してしまったこと・・・。

それから時が経ち、音楽関係の仕事についていた彼女は自分の病気を知ることになる。
余命半年。
そう宣告を受け、呆然と街を彷徨っていた時。
あのメロディーが聴こえた。
先輩を想って、彼女が作ったあの曲だ。
彼女は驚き、そのメロディーがこぼれている、とある一軒のバーに駆け込んだ。
そこにいたのは。
その曲を演奏していたのは。
彼女が恋をした先輩だった。

二人は瞬く間に恋に落ちた。
幸福な日々が続く中で、画家である彼が彼女の似顔絵を描きたいと言い出す。
彼女は快く了承し、やがて彼が描き上げたその似顔絵を見た。
・・・そこに描かれていたのは、阿修羅のような顔をした自分だった。

彼女は言葉を失くした。
何故ならば、彼女は知っていたのだ。
以前、同じく彼に阿修羅のような似顔絵を描かれた男が、交通事故に遭って亡くなったことを。
彼の絵には、描いた相手の死期を予期する力がある。
やはり、自分は死んでしまうのだ・・・と。

そんな彼女の反応に慌てたらしい彼は、もう一枚絵を描かせて欲しいと言う。
彼女は了承し、彼はもう一枚絵を描いたが、今度もそのキャンバスに描かれた絵は阿修羅になった自分で。

―――彼女は、氷のような涙を零した。

彼を傷つけずに彼の元から去りたいと願う彼女に。
長谷川は彼女が記憶喪失だったと言う内容の、あの手紙を書いたのだった。


真実が書かれた長谷川の手紙により、由利と三池はすべてを理解した。

三池がバーで出会い恋に落ちた【彼女】。
音楽関係の仕事についた心優しい由利の【妹】。
長谷川の初恋の相手で今でも想い続けている【彼女】。

それらは全て、一人の同じ女性だったのだ。

三人が一様に聞き覚えがあると言ったあのメロディーは、彼女が作ったものだった。
由利は妹が作った曲だったため聴き覚えがあったし、三池は譜面を持っていた。
そして彼女のことが好きだった長谷川が、その譜面を手に入れていてもおかしくはない、と由利は言う。

そして三人が再会したあの日。
自分たちを呼び出したのは、自分が分からなくなる前の長谷川だったんじゃないか、と三池が言い出す。
三池と由利と、そして自分が分からなくなるかもしれない自分のために、長谷川が送ったメールだったんじゃないか、と。

「宛名のない手紙は、誰もが想像もできない形で主の元に届く・・・」

由利は教授が口にした言葉をなぞり、胸ポケットに入れていた手紙を取り出した。
封がされたままの、宛名のない手紙。
それは由利の妹が、三池に宛てて書いた手紙だったのだ。
由利の手から三池に渡った彼女の手紙。
そこに書かれていたのは、彼女の本当の気持ちだった。

『私を可哀想だと思わないでください。何故なら、私たちはあの日、運命を変えることが出来たのだから』

『私は幸せでした。そして・・・』

『私は今も、幸せです』

NUMBER:days~tears of the world~


******☆******☆******☆

さぁさぁ遂に伏線回収が一気に行われるクライマックス、長谷川の手紙編に入って参りますよー!
長谷川が二人に託した手紙により、【彼女】の正体とその真意が遂にこのパートで明らかになります。
ちなみに手紙を読んでいるのは三池ですが、舞台上には長谷川が登場し、彼が一人語りをするような形で話が進行します。

ここで特筆したいのは、三池が由利から受け取った彼女からの手紙を読んで泣くシーンはもちろんのこと、最後に歌われる【days~tears of the world~】での、三池の哀切な「I Love you...」ですよな・・・あれほんとたまらんよな・・・なんという切なさか・・・
daysは元々切ない内容の歌詞ですが、このシーンで歌われるそれの感情の揺らぎはすごい。
そりゃ思わずこちらも奥歯をかみ締めるわ。(笑)
(ちなみに完全なる余談ですが、この曲を聞くといつぞやのコンサートで多分井ノ原さんが『抱きしめあった』と『手をとりあった』の歌詞が混ざって『抱きとりあった』になったって言う話をしていたのを思い出すのですが、あれなんのコンサートでしたっけ・・・?笑)

そう言えば【彼女】からの手紙には追伸があって、それを涙する三池に代わって由利が読むのですが、光騎さん肝心のその追伸の内容を全く覚えておらず。(お前)
ほんとどんな内容だったのか全然思い出せなくてひっじょーにもやもやしているので、お心当たりの方は是非光騎さんまでご連絡を!(笑)

◆目覚めた惑星。


久しぶりに目覚めた長谷川は、長い夢を見ていたと見舞いに訪れた三池に話す。
三池は三池であれは夢だったんだ、と自分に言い聞かせるように話し、後から来た由利もまた同じことを口にした。
そして「どんなに時間がかかっても必ずこの奇跡は解明してみせる」と力強く言う由利。
彼は保留にしていた辞表を撤回したのだ。
そして三池もまた、再び絵筆を持つ決意をしたようだ。
彼は長谷川の似顔絵を描きたいと言い出し、了承を得るとキャンバスを病室に置いた。

「白黒1000円、色つき3000円」
「えっ、お金取るの!?」
「冗談だよ」
そんな会話を交わし、三池はキャンバスに筆を走らせ始める。

「そういえば、二人とも僕の夢に出て来たでしょ?自分のことはよくわからないけど、二人のことはよくわかるんだ」
三池に動くな、と言われて口を噤み、大人しく座り直す長谷川。
そんな彼を静かに見つめていた由利は、三池のキャンバスに目を移すと口を開いた。
「おい、三池。これはお前の絵じゃ・・・」
「黙ってろ」
それを口にした途端、言葉は意味を持つ。
三池の頑なな表情に理解を示した由利はまた、ただ見守るだけの姿勢をとる。

やがて。
完成した似顔絵を、三池は長谷川に手渡す。
二人が見守る中、彼はじっとその絵を見つめると。


「あぁ・・・これが、僕だよ」


そう、つぶやいた。

NUMBER:Change Your Destiny(リプライズ・バラードヴァージョン)


******☆******☆******☆

さぁ、これがいよいよ本編最後のシーンでございますよ!
場面はまた病院に戻り、長い夢から醒めた長谷川の元に、三池と由利がやってきます。

このシーン、三池と由利の長谷川を見る表情がとても柔らかくて、特に由利の長谷川を見る目がめっっっちゃくちゃ優しくてすごいたまらんかったのですよ!あの目はぐっときた・・・!
なんかもう本当に慈しみが溢れていたのですよ・・・まるで聖母のような慈愛の瞳だった・・・(笑)
いやはやあれはもうほんと博さんが演じているからこそですよなぁ。
ほんとやっさしい目だったんですよ・・・あぁ全員にあの距離から見て頂きたかった・・・無念だ・・・(笑)

最後に長谷川がつぶやく「あぁ・・・これが僕だよ」は、まるでつき物が落ちたかのような声で。
自分の絵を曲げてまで三池が描いた長谷川の似顔絵は一体どんな絵だったんだろうなぁ。
ちなみに超現実的なことを言うと、あのスケッチブックには実際は何も描かれていませんでした。(井ノ原さんがスケッチブックを裏返してベットに置いた時に見えた)
しかし逆に白紙のキャンバスにも何かしらの意味があるんじゃなかろうかという疑いを持ってしまうよね。舞台の内容的にね。(笑)

そしてラストシーンを迎えた後。
果たしてこれはハッピーエンドなのか、という疑問が浮かんだりもしたのだけれど、最後の長谷川のつぶやきが彼が生きる未来に続いている事を祈って、願って、切望して。
これはハッピーエンドだったのだ、と個人的には解釈しておこうと思いますですはい。

◆エンディング。

NUMBER:Dahlia


******☆******☆******☆

さて、本編終了後には楽器演奏ありのDahliaで明るく締めとなりますよ。
客席はクラップで参加したりして、楽しい雰囲気のエンディングとなるわけなのですが。
しかし本編内容と相反するDahliaの歌詞の内容を考えると、ついここにも深い意味が・・・!?と無駄に想像を巡らせてしまうよね。(笑)
特にDahliaは【彼女】との幸福な日常が描かれているもんだから余計にね。
つい三池が恋に落ちた彼女と、長谷川が初恋の相手である彼女と、由利が心優しい妹と、過ごしたかもしれない愛しい日々を思って、ちょっぴりの切なさを抱いてしまう光騎さんなのでした。

はい、というわけでTTTの本編内容がこれにてすべて終了しましたぞ!良く頑張った俺!(笑)
しかしレポはまだこれで終わりじゃないぜっ!
今回はちゃんとカーテンコールの内容についてもしっかり(かどうかは微妙なところですがとりあえず)書いて行こうと思いますよ!(笑)
ある意味で盛り上がった二公演分のカーテンコールの内容は次のページで!

⇒カーテンコールへ。


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