TWENTIETH TRIANGLE TOUR 戸惑いの惑星

2017.02.07.Tuesday マチネ レポート。
※カーテンコールのみ東京楽(2/14)分も含みます。台詞は全体的にニュアンスで!

◆挨拶と観劇時の注意について。


「本日はTWENTIETH TRIANGLE TOUR 戸惑いの惑星にお越しくださり」
「「「ありがとうございます」」」

客電が落ち、ステージに登場したのは舞台の主役を務める三人の男たち、【トニセン】。
彼らは舞台の初めに挨拶と、観劇時の注意について、客席に説明し始める。


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さぁ待ちに待ったTTTの幕開けですよー!(笑)
わくわくしながら始まりを待っていると、まずスタートの合図として、開演を知らせるベルを持った男性が一人、ステージの上を左から右に歩いて行きます。
その後に【トニセン】の三人が登場するわけですが、このオープニングでの三人は、会話の内容からあくまでトニセン(と言う設定)であることが伺い知れますな。
ちゅーわけで舞台上で【自分】を演じている御三方。
ここでの坂本&井ノ原両名は割と普段っぽく(井ノ原さんが一番自然)、いつもの自分の装いで話している感じなんですが、いかんせん博さんが!長野博が!(笑)
完全にあの人だけいかにも演じてます!って言う感じなんですけどもあれはあれでいいのだろうか。(笑)
明らかに自然体ではない博さんに、OPからいきなりこちらが戸惑ってしまったと言う余談ですはい。(笑)

ちなみに観劇時の注意をする三人を、イスを運ぶ黒子(と言っていいのか?)がちょいちょい邪魔したり、注意→『(声を揃えて)お願いします』(ぺこり)→注意→『(声を揃えて)お願いします』(ぺこり)を繰り返す三人あたりがここでの客席のくすくすポイントだったかと思います。(笑)

そう言えば今回の舞台、長野&井ノ原両名はまったく無かったのですが、坂本さんだけはちょいちょい目が合う(=客席を見ていた)なんてことがございまして。
本人は別段個人を認識して目を合わせているわけではないのでしょうが、何せ距離が近すぎるもんで、こちら側はなんとなく気まずく、目が合う→さっと逸らすという流れを数回繰り返したとかなんとか。(笑)

◆差し入れられた手紙。


三人の元に、唐突に差し入れられたのは一通の手紙。
何故か「手紙にはいい思い出が無い」と言う坂本と長野に代わって、井ノ原はその手紙を受け取り、読み上げる。
そこには孔子の論語にある【四十にして惑わず】を引き合いに出し、【あなたが戸惑うことを教えてください】という主旨のトークテーマが書かれていた。
三人はその指示に従い、それぞれに【戸惑うこと】について話し始める。

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物語の中で重要な位置付けをされている【手紙】が一番最初に登場するのがここ。
(作中で数回登場する星図+銀の月を組み合わせた柄の封筒は…少々深読みし過ぎかもしれないが…記憶を司る海馬の形に見えなくもないと思ったのは俺だけなのか)

一人の女性が無言のまま差し出した手紙に書かれていた内容でトニセンのトークショーが始まります。
ちなみに此処で登場する女性というのが、この舞台の音楽監督であり、劇中でピアノも担当している萩野さん。
彼女は無言の圧力で(笑)三人に手紙を読むよう要求するわけなんですが、いざ代表して井ノ原さんがそれを読もうとすると、何故か唐突に鍵盤ハーモニカを吹き始めます。(登場時から手に持ってた)
「えっ!?あ、BGM?BGM流すのね?そういう感じね?」と井ノ原さんが仰る通り、どうやら手紙&BGM係だったようです。(笑)
ちゅーわけで素敵なBGMの中、前述した内容の手紙を読み上げる井ノ原さんでしたとさ。(笑)

◆それは摩訶不思議な。


長野が夜空の星に関する壮大な話を語り、坂本が占いに関する話を笑いを交えて語ると。
最後の一人、井ノ原が語ったのは、少し不思議な体験の話だった。

ふと気づいたら、自分の家の前にいる。
どうやって帰ってきたのか、その道のりは思い出せない。
そんな体験をしたことは無いか、と井ノ原は二人に聞く。
まぁ無意識のまま家に帰ると言うのは分からなくはないかな、と二人は答えるが、井ノ原の話はそれでは終わらない。
友達の家とか、コーヒーショップとか。
この間なんかはディズニーランドのクラブ33にいたんだ。
まぁでもそれは夢の話だったんだけどね――――。

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さて、手紙を読み終えると萩野さんははけて、自分の所定の位置に戻ります。(舞台左手上方にある、中がうっすら見えるバンド部屋)
三人はテーマにのっとってトークを始めるわけですが、ここで三人が語った内容と順番は確か、博さん(夜空の星)⇒坂本さん(占い)⇒井ノ原さん(自分が分からなくなる話)だったかと。
※ちなみに坂本&長野のトーク中にも素敵なBGMとSE(笑)がもれなく挿入されます。
※ついでに坂本&長野のトークの細かい内容につきましては、もうすっかり記憶が飛んでいるので割愛させて頂きます。(をい)
※でも多分ここでの二人の話の内容も物語の伏線になっているんだと思います。多分。(二回言った)

・・・いや、流石にそれだけっていうのもレポとしてどうかと思うのでもうちょっと書きましょうか。(笑)
んーと、多分ざっくり言うと、博さんの話は後々の集合的無意識の話に繋がっていて、リーダーの話は変えられない運命の部分が重要なのではないかと。思われますですはい。多分。(しつこい)

さっ、そんなわけでさくっと井ノ原さんの話まで飛びますが。(笑)
彼の話の中にディズニーランドのクラブ33(実在するパーク内にある会員制クラブ)が出てくるのですが、その話が出て来た時は、最近Dヲタに片足突っ込んでるような気がする光騎さんはめちゃくちゃ反応しました。(笑)
そしてまさか、この話がこの物語が展開する一番最初の切欠になり、ある意味一番重要なヒントになるとは!
Dヲタも思わず戸惑う井ノ原さんのお話は次の項目で!(笑)

◆クラブ33とミッキーマウス(複数)。


井ノ原が語る夢の中の話。
ディズニーランド内に実在する会員制クラブ、【クラブ33】。
そのトイレの中に広がっていたのは、なんとも不思議な空間だった。
無数の星がきらめき、銀の月が浮かぶ水面。
およそありえない光景に、井ノ原は慌ててスタッフにそれを問おうとした。
しかし驚いたことに、先ほどまでいたスタッフは誰一人そこには居らず。
その代わりに、複数のミッキーマウスがその場を埋めるように存在していた。

「いや、おかしいでしょ!ミッキーマウスは世界中に一人しか存在しないんでしょ!?」
「それじゃあお聞ききしますけど、あなたは自分が一人だってどうして分かるんですか?」
「だって、いのっちは俺一人でしょ?」

そんなのは当然だ、分かりきっている。
しかしどうしてか、その話を聞いた坂本と長野は口々に「いのっちは俺だ」と主張し始めた。
困惑する井ノ原に、二人はその理由を説明する。
よく祈るところから祈るっち、いのっちと呼ばれていると言う坂本。
猪突猛進でイノシシのようだからいのっしし、いのっちと呼ばれていると言う長野。
そんなはずはない、それは無理があり過ぎる、と笑う井ノ原にも、二人は一様にその主張を崩さない。

「それじゃあ俺はなんて呼ばれてた?」

仕方なく、井ノ原がそう聞けば、二人はさも当然と言うようにそれを口にする。

「はせっち」
「お前は、長谷川だろ?」

その言葉を聞いた途端、よろめき倒れる井ノ原・・・否、長谷川。

「最近よくこうなる。自分が誰か、分からなくなる事があるんだ」

そんな彼を支え、心配そうな目を向けたのは。
坂本・・・否、三池と、長野・・・否、由利だった。

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不思議な体験の話の最後に井ノ原さんが語るのがディズニーランドのクラブ33のお話です。
Dヲタならばもれなく誰もが憧れる(であろう)、カリフォルニアと東京のディズニーランドだけにある、あの会員制のクラブ(正確に言うと会員制のレストラン)でございますよ!
先にも書きましたが、まさかここでDネタがぶっこまれるとは。そしてそれが重要な意味を持つとは。
ノーネタバレで挑んだ光騎さんはこの時点では全く思いもせず。
後々考えてみると、確かに【自分は世界に一人だけ】、という話をするにはうってつけのキャラクターですもんなぁとなるほど納得。
しかしさすがに複数のミッキーマウスに囲まれたら怖いと思いますですはい。(笑)

そう言えばトイレ空間の表現に【水面】【月が銀色】という、ちぎれた翼の歌詞の中にある言葉が入れられているのは、あそこのシーンでこれを歌いますよって言う伏線・・・なのか?(笑)
この『あそこのシーン』については後々その項目で書きますが、個人的にはそれが今回の舞台の中で一番好きなシーンだったりします。(そして割と同意見多数っぽい)

さて、そんなクラブ33で出会ったミッキーマウス(複数)の言葉からお話は急展開を迎えます。
「いのっちは俺」というやりとりまでは微笑ましく楽しく見ていた客席も、ここで急に感情のスイッチを切り替えることを要求されます。

「はせっち」
「お前は、長谷川だろ?」

そう。
客席はここでようやく彼らが【トニセン】ではないことを知るのです。

◆長谷川という男。


長谷川は自分が誰なのか分からなくなる病にかかっていた。
人格喪失症と言うらしい。
三池と由利が病院まで御見舞に行っても、どこかぼんやりした様子の長谷川は、二人のことすら曖昧なようで、君は・・・長野くん?、君は坂本くんでしょ?と【彼らではない誰か】の名前を口にする。

「俺は由利だよ」
「由利くん」
「俺は三池。ほら、ミケランジェロ」
「ああ!ミケくん!」
「いや、三池だって」
「知ってるよ、三池くん。僕は・・・長谷川です」

長谷川はベッドに貼られている自分の名前をその都度確認しなければ自分が誰なのか分からない状態で。
病状は三人が再会した時よりも更に、悪化しているようだった。

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場面転換により、ステージ上には病院のベッドがご登場です。
病院着でそのベッドの上にちょっこりと座り、頼りなげな表情を浮かべている井ノ原さんもといはせっちのたまらなさと言ったら・・・ないね・・・
今回の井ノ原さんは役柄的に、随所で捨てられた子犬のような目(笑)&頼りなげな表情をしているのが・・・ほんとくっそ切なくてたまらんですなぁ・・・ぎゅーしてあげたい・・・

またここで二人を坂本くん、長野くん、って呼んで否定されてしまうのが何とも言えない切なさがあるなと思うのは自分だけでしょうか。
さっきまでトニセンとして笑い合っていた彼らは一体何だったのか。
まぁここらへんは深く考えると戸惑うどころかドツボにはまってしまうので、お次の三人が再会した過去の話へさくっと進みましょうさくっと。(笑)

◆スタジオ33にて。


同じ高校に通ってはいても、名前と顔が一致しない程度の間柄でしかなかった三人が。
再会したのは差出人不明のメールで呼び出された倉庫のような場所、【スタジオ33】。
そこに置かれていた手紙を読むと、箱を開けと指示が書かれていた。
三人がそれぞれ、目の前の箱を開いてみると、そこに入っていたのは楽器と譜面。
「とりあえず、吹いてみる?」
長谷川のその言葉に頷いた三池と由利。
三人は譜面の通りに、それぞれの楽器を鳴らし始める。
そして奏でられたメロディーは。
三人の記憶のどこかに存在する。
確かに聞き覚えのあるメロディーだった。

NUMBER:Change Your Destiny


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さぁさぁいよいよ練習過程で博さんがノイローゼにまでなった(詳細はカーテンコールの項目で!)、金管楽器演奏がある大事なシーンですよー!
舞台は再び場面転換し、倉庫のような場所、【スタジオ33】へと移ります。
ここは確か一番最初に倉庫に着いたのが長谷川で、次に上から三池が、そして最後に左手から由利が登場したかと思います。
ここでかつて同じ高校に通ってはいたものの、特に親しい間柄ではなかったという三人がぎこちない会話を交わすわけですが。
その中に三池と由利は隣のクラスだったという発言があり、同級生であることが分かります。
が、長谷川については特に話が出ないので、学年設定が分からないんですよな。
いや、もしかしたらどこかで言及されていたのに俺が忘れているだけなのかも・・・?
もし覚えのある方がいらっしゃいましたら是非ご一報を!(笑)

さて、そんな三人ですが、箱の上に置かれた手紙に三池が気付いたことにより、いよいよ緊張の楽器演奏のお時間がやって参りますぞ!(笑)
手紙の指示によりそれぞれが開いた箱の中にはトロンボーン(三池/舞台向かって右手)、ホルン(由利/舞台向かって左手)、フリューゲルホルン(長谷川/舞台中央)と譜面が。
金ぴかに輝く三種の金管楽器を高く掲げた三人は、とりあえずそれらを演奏してみることに。
長谷川の「せーの・・・」を合図に演奏スタートするも、三池&由利は全く演奏せず。
「なんでやらないの!?」
「俺は二小節休みだから」
「俺は二小節半」
「あ、そういうこと?じゃあ改めて、せーの・・・って別にせーのはいらないか!」
「いやいいよ!言えよ!」

と言うまごまごしたやりとりがとっても可愛いですはい。(笑)
そんなわけで気を取り直してようやく演奏を始める御三方。
んでまぁ肝心の演奏なんですけども、正直な話、素人が聴いても上手とは・・・言いがたい演奏ではございましたが・・・何せゼロからのスタートですからね。
それがあそこまで演奏できるようになったのは素直に凄いなと思いました。
ほら、KinKiさんなんてPボーン全然上達しなかったから!(いや、そこと比べたらいかんやろ・笑)

あ、ここで演奏された曲は【Change Your Destiny】で、今回の舞台のために書き下ろされた新曲です。(作詞がG2さんで作曲が萩野さん)
個人的には超好き!めっちゃ好き!なんとかしてCD出してくれよベックスさん!(笑)
思えばこの曲のタイトル自体が既に伏線なんだなぁ。
そしてここで【全員が聞き覚えのあるメロディー】と言うのも同じく伏線なんですよな。
どうして全員が流行歌でもなんでもないこの曲に聴き覚えがあったのか。
それは(怒涛の伏線回収が行われる)終盤で明かされていくことになるのです。

◆それは長谷川の綴る夢。


長谷川の病状は悪化の一途をたどり、その日は遂に丸一日眠り続けている状態だった。
病院のロビーで、そんな彼が書いたと言う【迷い病の世迷言】という小説を三池に見せる由利。
由利は長谷川が小説家を目指していた事を母親から聞いて知っていたという。
そこでふと、三池は由利の母親が町内で有名人であったことを思い出した。
テレビで見たユリ・ゲラーのスプーン曲げ。
それを成功させた由利の母親は、名字が『ユリ』であることもあり、一躍町内の有名人になったのだ。
しかし由利はそれについていい思い出が無いようで、ただ言葉を濁し、浮かない顔をする。
話題の選択を間違えた、と三池は由利に謝罪した。

「・・・これ、読んでみない?」
「いやでもいいのか?許可も取らずに」
「聞こうにも本人はああだし・・・」
「だよなぁ」

本人に無許可で小説を読む罪悪感を覚えながらも、好奇心には勝てず。
二人は長谷川の書いたその物語を読み始めるのだった。

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シーンは再び病院へと移り、ロビーのソファに座っている由利の元に三池がやって来るところから始まります。
ここはいわゆるみんな大好きツートップパートです!ありがとうございます!(笑)
博さん@由利のソファの座り方(右足をお尻に敷いて三池のほうに体を乗り出す)とか、本人に許可を得てないのに読んだらまずいだろーと言いつつ結局読んでしまう二人とか、その原稿の持ち方とかとか、ついニヤニヤしてしまうポイントがたっくさん。(笑)
そもそも話の都合上、ツートップはワンセットになっていることが多い上に、力関係が完全に由利>三池なので、ツートップスキーにはたまらんですな。(笑)
しみじみ思いますけども、今回井ノ原さんにあの儚げな役を配して、ツートップをワンセットにして、更に三人の関係性をああやってくくったのがなんというかもう見事としか・・・さすがG2さんやでぇ・・・(笑)

◆迷い病の世迷言。


長谷川は子供の頃から物語を書くのが好きだった。
小学生の時に先生に作文を褒められ、中学生の時には先生に小説家になれと言われた彼は、その言葉を真に受けて小説家を志した。
「小説家を目指すなら雑誌社に小説を持ち込めばいいらしいよ」
高校時代の同級生に言われたその言葉に、長谷川は早速雑誌社に小説の持ち込みを開始する。

最初に持ち込んだ雑誌社の編集には、文章は綺麗だけれど売れる小説ではないと言われてしまう。
けれどもその編集者から聞いた、【華麗なるギャッツビー】を書いたF・スコット・フィッツジェラルドは、126社に評価されず、127社目でようやく認められ、出版した小説【楽園のこちら側】は三日で3000部の初版を完売した、と言う話に励まされ、127社までは持ち込みを続けることを決意する。

それから10年が経ち、持ち込んだ運命の127社目。
やはりそこでも長谷川の小説は評価されることなく、むしろ「そもそもこれは小説ではない」と編集者に言われてしまう。 ただその編集者は「君には才能がある」と言い、一枚の名刺を差し出した。
そこに書かれていたのは手紙代行業の文字だった。

☆★☆

渡された名刺の場所に向かう長谷川。
その途中で見覚えのある顔を見つけて足を止める。
それは街角で似顔絵描きをしている三池だった。
彼はどうやら客とトラブルになっている様子で、その客はついに怒り出し帰ってしまう。

「あれ?お前長谷川か?俺だよ!三池!ミケランジェロ!」

売れない画家をしている三池は、副業として白黒1000円、色つき3000円の似顔絵描きをしているのだという。
心のままに描く彼の絵は、似顔絵とは言えない程にかなり独特なもので、描き上げた絵を見て怒って帰る客がいる一方で、それを気に入り、チップ込みでお金を置いていく客もいる。
そんな彼に長谷川は、画家として描いた絵は無いのか、未完成のものでもいいから見たいと言うが、三池は完成したものも描きかけの絵も無い、今はその時じゃない、と頑なだ。

「それで、お前は何やってるんだ?」
「小説を書いてるんだけど・・・売るのって難しいね」
「小説家フィッツジェラルドは・・・」
「127社目で評価されるんだよね」
「なんだ、知ってたのか」
「うん。・・・実は今日が、その127社目だったんだ」

編集者に手紙代行業を紹介され、そこに向かっているところであることを三池に伝えると、代筆と勘違いした彼は「お前字綺麗なのか?」と聞いて来た。

「違うよ。そっちじゃなくて、ほら、大統領の原稿を変わりに書いたりする人がいるだろ?ああいうことだと思う」
「あぁ、ゴーストライターか」
「うん、まぁ・・・」
「やめとけよ、ゴーストライターなんて」
「えぇ、どうして?」
「そんなもん続けたら自分がゴーストになっちまうぞ」
そこでふと、三池は思い出したようにこう言った。
「ゴーストと言えば、昨日そういうのを研究してるヤツに会ったんだ」

☆★☆

とある大学の研究室。

「いらっしゃい!お待ちしておりました!」

三池を迎えたのは、この超心理学部で超常現象を研究している研究者の由利だった。
由利は三池の描く絵が持っているかもしれない特殊な力についての話を聞きたがった。

「俺は研究に協力するつもりはないからな」
「もちろんです!あくまでお話をお聞きしたいだけなんです」

気が乗らない様子の三池をなんとかソファに座らせ、由利は持ってきた一枚の絵を彼に見せた。
それはサインは入っていないものの、確かに三池が描いた誰かの似顔絵で。
由利によると、この似顔絵の人物はこの絵を描いてもらった直後に大成功を納め、その成功はこの絵のおかげであると言い、三池を探しているのだと言う。
だがそんなことは信じない、自分の絵にそんな力は無い、と三池は怒り出し出て行ってしまう。
落胆する由利を宥めたのは超心理学部の教授だった。
超心理学部は人気のない学部であり、現在所属しているのは教授と由利の二人だけである。
そんな状況の中、この研究を続ける理由を教授に問われた由利は、理由は二つあると答える。
一つは音楽関係の仕事をしている兄思いの優しい妹が応援してくれているから。
そして、もう一つは。

「母が、スプーンを曲げたからです」

NUMBER:不惑


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少々あらすじが長いですが、長谷川の書いた物語【迷い病の世迷言】前半の内容をざっくりまとめるとだいたいこんな感じかと。
長谷川の幼少時代の語りから始まり、三池との再会、そして三池が由利に出会った話へと続きます。
ちなみに長谷川の担任の先生等のいわゆるモブ役はツートップが交互に演じます。
なんならセットチェンジも自分たちでやったりするので大忙しです。
演じた順番は確か下記の通りだったかと。

・小学生時代の先生⇒博さん
・中学時代の先生⇒坂本さん
・高校時代の同級生⇒博さん
・最初に持ち込んだ雑誌社の編集⇒坂本さん
・手紙代行業を勧めた編集者⇒博さん

そして三池との再会のシーンでは博さんがモブ客を演じ、由利の研究室の教授は井ノ原さんがヒゲもじゃ姿で違和感なく演じます。(笑)
そうそう、教授と言えば、これどこのシーンだったか忘れてしまったのですが、7日ではなく14日の回に教授@井ノ原さんがアドリブで由利@博さんを「つんつん」と言いながらつっついたんですが一体なんだったんだあれ。(笑)
もう前後の話を忘れてしまったのでさっぱりですが、とりあえず可愛かったですはい。(笑)

◆現実と物語。


「おかしいな・・・」

病院のロビーで。
長谷川の書いた物語を途中まで呼んだ由利はそうつぶやいた。
三池が「何が?」と聞くと、彼は難しい表情をしてこう答える。

「この台詞、一言一句同じなんだ。教授との会話まで、なんではせっちが知ってるんだろう」

偶然の一致とは思い難い内容の一致。
ただし、その全てが同じというわけでもない。
三池が由利の研究室を訪れた事は無いし、三池が似顔絵を書いていることを長谷川は知らないという。
現実と物語の不思議な符合に戸惑いながらも、二人は更に物語を読み進めて行く。

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インターミッション!(懐)
と、言うわけで長谷川の書いた物語から三池と由利が一旦現実へと戻って来ますよ。
その戻り方(二人で原稿を持ちながらゆっくりソファに戻る)もなんだか可愛いツートップです。(笑)

ここで二人は由利の言葉を切欠にして、長谷川の書いた物語と現実のおかしな符合に気づきます。
現実と虚構が入り混じる長谷川の物語は、やがて二人の存在そのものを巻き込んで行くわけなのですが。
この【迷い病の世迷言】と言う物語は、集合的無意識から長谷川が作り出したもの・・・という理解でよいのですかね??
難しいことはさっぱりな光騎さんです。(笑)

さて、折角のインターミッションですので(笑)ここいらでページを変えますな。
引き続きお付き合いいただける方は次のページへずずいっとどうぞ!

⇒迷い病の世迷言後半戦へ。


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