寂しい侘しい野郎だけのクリスマスイブ in 福岡。(でも意外とにぎやか)
12月24日、クリスマスイブ。
コンサート地福岡。
PM11:30 スタッフとのクリスマスパーティー終了後。
メンバーのみの二次会 in 福岡市内某ホテル、坂本の部屋。
「・・・なぁ、なんで二次会が俺の部屋なんだ?」
坂本は部屋の扉を開けた格好のままで渋い顔をして、やたらと大荷物の来客たちを見てそれはもう深い深ーいため息をついた。
事の起こりはスタッフとのクリスマスパーティーの最中。
誰かが言い出した『メンバー同士の親睦を深めよう』と言う趣旨の下に計画されたメンバーのみの二次会。
別にそこまでは坂本としても特に異存はなかった。
こうして六人だけの時間を十分過ぎるくらいに過ごせるのは、10周年イヤーの今年だからこそだ。
年を越してしまうとまたしばらくは個人個人ばらばらの活動が続く。
だからせめてこのツアー中くらいはメンバーと一緒にいる時間を大事にしたいと坂本は思っていた。
しかし、である。
どこで二次会をするかと言う話になった時、坂本は妙に嫌な予感を覚えた。
そしてそれは不幸なことに大当たりしたのである。
(五人曰く)厳正なる協議の結果、坂本以外の五人の賛成の声により、二次会の会場はホテルの坂本の部屋に決定したのだった。
「だいたいなぁ、二次会っつったらどこか店借りるとか、ホテル内のバーとかだろ普通」
「え?だって、ねぇ?」
通せんぼ状態のままごねる坂本に、一次会で残ったお菓子やおつまみが入った袋を抱えた長野が曖昧にそう言うと、
「店は手配すんの面倒だし、人の目を気にしながらっつーのもなんじゃん?その点坂本くんの部屋なら自由気ままに過ごせるし、汚してもいいわけじゃんよ♪」
長野の隣に立つ、シャンパンやらワインやらビールやら日本酒やらの和洋折衷な酒瓶が入ったビニール袋を両手に下げた井ノ原がさも当然だとばかりにそう言って、少々赤い顔でにはっと笑う。(ちなみに彼の顔が赤いのはもちろん一次会の結果である)
「ってオイ!良くねぇよ!!そりゃどういう了見だ一体!?」
「もーいーじゃん坂本くんリーダーなんだからさ〜」
「そーそー深いこと気にすんなよ」
「お前らなぁ・・・」
長野と井ノ原の後ろに立っていた剛健コンビがあまりに面倒くさそうにそう言うので、坂本は軽く脱力しそうになる。
そして井ノ原と長野の間にひょいと顔を出し、申し訳なさそうな表情をした岡田の、
「ごめん坂本くん、廊下に5人も立ってると他のお客さんに迷惑やねんけど・・・」
なんて言う言葉には反論するすべもなく。
「・・・はぁ」
結局彼は渋々と、仕方無しに5人を自分の部屋へと迎え入れるのであった。
「なー乾杯すんの?」
「井ノ原くんは乾杯の音頭とんなよ!長くなるんだから!」
「えぇ〜?!」
「なぁ博、ケーキの用意はせんでええの?」
「あ、そうだった。ロウソクに火つけないとね♪」
「おん。剛くんライター貸してくれん?」
「ん?おう、ほい」
「おっ、いーねいーねぇ〜♪いかにもクリスマスって感じじゃねぇ?」
「男六人だけって言うのがちょービミョ−だけどねー」
「じゃ井ノ原、シャンパングラス全員に回して」
「はいよ〜あ、カミセンはシャンパンじゃなくてシャンメリーでいいんじゃないのぉ〜?」
「ってどんだけ子ども扱いなんだよ!!」
「俺たちちゃんと成人してるんだけどっ!?」
「だいたいシャンメリーなんて買ってきてへんやん」
「あはあはあはv」
「ほら井ノ原、早く回してって。ロウソク溶けちゃうだろ」
「あ、ごめんごめん」
「・・・・・」
嗚呼、なんとも賑やかしい我が家。
「ちょっと、坂本くん?何遠い目してるの?」
「・・・あ?あぁ。いや、ちょっと我ながらこの心境はなんとも言えねえなぁと・・・」
「はぁ?」
そんな坂本の心境をよそに。
「それじゃ、皆様ご唱和下さい!!」
『メリークリスマス!!』
かしゃん、とグラスがぶつかり合う音が響いて。
メンバーのみのクリスマスパーティー二次会は幕を開けたのであった。
そして経過すること約二時間。
「・・・絶対こうなるから嫌だったんだ俺は」
部屋の無残な状況を見て、坂本はがくりと肩を落とした。
「あーあ、みんな見事なまでに散らかしたまま寝ちゃって・・・」
長野が呆れて言ったとおり、室内はまさにしっちゃかめっちゃかの状態になっていた。
部屋に散乱した酒瓶とグラス、お菓子やおつまみの包装紙のゴミ。
テンションを上げすぎた井ノ原がクラッカーを乱発した結果生まれた紙テープのゴミ。
(ちなみに放っておいたなら延々と続いたであろうそれは長野が軽くキレて井ノ原の脳天に手刀を入れたおかげで無事止まった)
(ついでに言えばホテルのボーイがその音を聞きつけて注意に来たのを対応したのは坂本だ)
そして床には酔いつぶれて&騒ぎ疲れてすっかり眠りこけている井ノ原・剛・健・岡田の四名。
そう広いわけではないホテルの一人部屋は、まさに足の踏み場が無い状態である。
ちなみに昨年夏コンの二の舞はごめんだった坂本は、今日は酒の量を控えめにしたためほろ酔いにもなっていない。
長野に至っては酒に弱いので明日の事を考えて一滴も口にはしていない。
結果、起きているのは二人だけ、イコールこの後始末をするのは必然的にこの二人になるわけで。
「まー文句言っててもしょうがないし、とにかく片付けようか」
「…はぁ」
年寄り二人に深夜の肉体労働させるのかこいつらは。
長野の言葉に坂本は自虐的な事を思ってから本日何度目か分からないため息をついて、コンサート疲れと二次会疲れを引きずりつつも、のそのそと部屋の片付けに入るのだった。
「よし、あらかた片付いたか?」
「うん。ってうわ、もうこんな時間か」
「あ?げっ、マジかよ」
「早く寝ないとだねぇ」
二人がようやく部屋の片づけを終えた時。
ベッドサイドにあるデジタルの時計はいつの間にか午前二時を表示していた。
いくら明日のコンサートが夕方からだと言っても、今日の疲れを取るには十分な睡眠が必要である。
余計な肉体労働までしてしまったのでそれは尚更だ。
「じゃあ早いとこ寝ようか」
「おう・・・っておいおい長野くん?なんでお前は俺のベッドに寝ようとしてるんだ?」
「え?」
てっきり部屋に帰って寝るもんだとばかり思っていたら、いそいそとちゃっかりベッドに潜り込もうとしている長野がいたので思わず坂本はそうつっこんだ。
ちなみにここは一人部屋なので、当然の如くベッドは一つしかない。
「だって床じゃ疲れるもん」
「もんってお前なぁ・・・」
「何?坂本くんも一緒に寝たいの?でもカミセンとならともかく俺と坂本くんじゃ狭すぎると思うんだよねー」
「いや、それは遠慮しますけども。つーかお前自分の部屋に帰りゃいいだろ?」
それは当然といえば当然の主張である。
一人につき一部屋がきちんと用意されているのだから、なにもわざわざこの狭っ苦しい部屋で六人全員揃って寝る必要性など何処にも無い。
しかし、長野がそれで頷くはずもなかった。
「えぇ?せっかく六人で過ごしてるのに俺だけ追い出すんだ、リーダーは」
「はあっ!?」
「ただでさえ寂しいクリスマスなのに、俺にこれ以上寂しい状態になれって言うわけ?」
「っておいおい・・・」
「まぁじゃ、そういうことなんでおやすみ♪」
「あっ、ってオイ!」
坂本に反論する隙を与えず、長野はさっさとベッドに潜り込んで寝る体勢に入ってしまう。
最早これ以上の問答は不可能であろう。
「なんで一人一部屋あるのにわざわざ俺の部屋で全員で雑魚寝なんだ・・・」
床には大の男が四人もごろごろと。
本来は彼のものであるはずのベッドには、我が物顔で潜り込んだ長野が。
コンサート終わりでくたくただと言うのに。
むしろ明日(というか既に今日)もコンサートだと言うのに。
リーダーは居場所のない部屋で一人眠れぬ夜を過ごしたとか過ごしていないとか。
そしておまけの話。
「バッカだな〜坂本くん。だったら他の部屋空いてるんだしそっち行けば良かったじゃんよ」
「あっ!!」
・・・どうやらリーダー、疲れで相当頭が回っていなかったようである。
終劇。
■Kohki's Comment.
お粗末。(笑)
えーいかがでしたでしょうか。
いのなきあたりでクリスマスの夜の事を語ってくれそうなので、本物の当日の出来事が明らかになる前に急いで更新せねば!!と頑張りました。(笑)
珍しくオチから思いついた話だったので、前フリ(前フリって)を考えるのがえらい大変で・・・
しかもいまだスランプ継続中らしく思うように文章が書けず・・・無念。
しかしくだらない話で失礼致しました。(笑)
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