「長野・・・」
「ん?」
名前を呼ばれて答えた先には
いつもの彼らしからぬ、酷く沈んだ表情。
≫ぬくもり。
「・・・長野くん?」
「うん?」
どうかした?と可愛らしく小首を傾げられてしまったので、井ノ原はドアを開けた状態のまま暫く困ったように固まってしまった。
撮影スタジオの、トニセンに与えられた控え室内でのこと。
「・・・どうかしたって言うか、どうかしたの、それ」
ようやくそんな微妙におかしな言葉を探し出して問いかけて見ると、長野は困ったように笑って自身の肩の上に乗っている『それ』の頭を撫でた。
「うん、ちょっとね。まぁ、あんまり気にしないでいいから」
だからいつまでもそうやってないで入ってこいよ、と言われてとりあえず井ノ原は楽屋に入って荷物を置いたのだが、突っ込みたいことがありすぎてやはり『彼ら』の所で視線を止めた。
気にしないでいいと言われて気にしないでいられるほどの状態ではないと、井ノ原は思う。
「何かあったわけ?坂本君」
ちろりと視線を『それ』こと彼らのリーダー坂本昌行に向けてから長野へと戻した。
楽屋の畳部分に座っている長野の腰に腕を回し、肩に顔をうずめて背中から抱きついてぴくりとも動かない坂本。
それは確かに井ノ原の目から見れば異様な光景であった。
「何かあったというか・・・まぁいつものことだから」
ただ今回はちょっと無理しすぎたんだよ、と微笑む長野の言葉の意味を理解しかねて、井ノ原は首を傾げる。
いつものこと?
無理をしすぎた?
一体何のことだ?
「・・・なんか話が見えないんだけどぉ」
曖昧な言葉に自分一人が仲間外れにされたような気がして、トニセンの末っ子は拗ねるようにむぅ、と口を尖らせた。
カミセンの前では絶対しない、子供のようなそんな表情に長野は苦笑する。
とりあえずこのまま井ノ原の機嫌を損ねるのも難なので、きちんと説明してやることにした。
「要するに疲れが溜まって余裕なくして弱気になってるんだよ。今回は特に重症。だからちょっとだけこうやって甘やかしておけばまたいつもの坂本君に戻るから」
だから心配しないで大丈夫、と微笑んだ長野に井ノ原は頷く。
・・・なるほどね、そういうことか。
「こんな姿カミセンには見せられないよねぇ」
「はは、確かに。一番年長の癖して、実は甘えたがりだからね、坂本くん」
言って、長野は優しい仕草で肩の上にある坂本の髪を梳く。
すると腰に回された腕がぴくりと少しだけ動いた。
耳元でううん・・・と寝ぼけた声が聞こえると、長野はくすぐったそうに眉を寄せる。
・・・なんだかとっても穏やかな光景。
「・・・なんか、ずるい」
「は?」
不意に井ノ原が不機嫌に放った言葉に反射的に長野はそう返す。
その返答が不服だったのか、さっき以上に拗ねた顔になった井ノ原がとことこと長野のそばまでやってきて、すっとしゃがみ込んだ。
「お父さんがお母さん独り占めってのはずるいっしょ」
「・・・お前ねぇ」
本当に子供のようなことを言った井ノ原に呆れ顔を返し、仕方がないでしょ、お父さんは疲れてるんだからと冗談交じりに言えば悪ノリした井ノ原がにかっと笑った。
あ、なんだか嫌な予感。
「んじゃ俺も甘えるぅー」
「はっ!?あ、こら井ノ原!」
「あはー」
背中に背負った坂本のせいで簡単に身動きが出来ない長野をいいことに、井ノ原はぐでっと長野の膝の上に頭を乗せた。
膝枕だーと能天気に嬉しそうな声が上がる。
「・・・重いし暑いんだけど」
「俺だって疲れてるもんっ!坂本くんばっか甘えるのはずるいじゃん!」
なんだか健辺りが言いそうな台詞だな、なんて思いつつ、それを言ったら俺だって疲れてるんだけど、と喉まで出かかった言葉を飲み込んで長野はため息を落とす。
その反応に流石にふざけすぎたかと思った井ノ原が体を起そうかと考え始めた時、仕方ないなぁと前置いてから苦笑交じりの声が優しく降ってきた。
「今日は特別だぞ?撮影が始まるまでだからな」
「え?マジ?」
「お父さんもよっちゃんも甘えん坊さんですねぇ」
にっこり笑顔でそんなことを言われたので、もしかしてこの人実は結構怒ってたりするんじゃなかろうかとも思わないでもなかったが、この際それには気づかなかったふりでお言葉に甘えてしまおうと井ノ原は素直に人好きのする笑顔を浮かべてあはーと笑った。
「んじゃ遠慮なく。おやすみお母さん」
「はい、おやすみなさい」
やり始めたからにはとことんやり抜くと言う訳でもないが、そんな挨拶を交わしてから井ノ原は目を閉じた。
それからすかすかと気持ちのよさそうな寝息が聞こえて来るまで、そう時間はかからなかった。
「全く、何笑ってんの坂本くん」
「・・・くくく。だってよぉ、ほんとコイツガキみてぇ」
長野の膝の上で気持ちよさそうに眠り込んでいる井ノ原を見て、坂本は心底可笑しそうに身体を震わせた。
その振動を受けてそれはあんたもでしょ、と視線で訴えようとしたが自分の後ろにくっついている坂本にはその視線は届かず、長野は嘆息して肩にある坂本の頭を軽くぺしっと叩いた。
「って言うか起きてるんだったら早く剥がれてよ。井ノ原だけでも重いんだから」
足にかかる体重と背にかかる体重プラス体温。
これが長時間ともなると結構な疲労になるものである。
井ノ原が眠り込んでからすぐ、耳元からかみ殺すような声が聞こえると思ったら、いつの間にか目を覚ましていた坂本がひたすらおかしそうに笑っていた。
要するに今までずっとタヌキ寝入りをしていて二人の会話を聞いていたのである。
そんな演技上手の男は長野の言葉には反応せずに、(しかし頭を叩かれたことに対してはいてぇなと返してから)彼の膝の上で気持ちよさそうに寝息を立てている井ノ原にその興味の矛先を向けた。
「気持ちよさそうに寝やがって」
長野の肩の上から手を出して、膝の上の井ノ原の額をぺちぺちと叩いてやる。
既に熟睡中の井ノ原はううんと唸っただけで起きる気配はない。
「やめなって、寝たばっかりなんだから」
「へ〜い」
その言葉には大人しく従って、両腕を今度は長野の首に回した。
「・・・まだくっついてる気?」
「充電が足りねぇ」
ふぅーと深めのため息を漏らして、また長野の肩口に顔をうずめる。
ぐいぐいと顔をこすり付ける仕草に長野は苦笑した。
「ほんと、今日は二人してかなりの甘えん坊だよねぇ」
「井ノ原には負けると思うぞ」
「まぁ井ノ原も確かにそうだけど、俺には坂本くんの方が甘えん坊に見えるよ?」
「・・・末っ子だからな」
「それは俺もなんだけどねぇ」
そう言われてしまえば返す言葉もない。
言葉に詰まった坂本はあーとかうーとか言いながら続く答えを探している。
長野は苦笑しながら手持ちぶたさに井ノ原の真っ黒な髪を指先で弄んだ。
あ、サラサラで気持ちいいかも。
「・・・まぁここんとこ忙しかったし、疲れてるのは分かるんだけどねぇ」
井ノ原の頭を撫でながら、いまだに唸っている坂本に対して言っているのか、はたまた独り言なのか計りかねる言葉で長野は呟く。
「・・・お前にしかこうやって甘えらんねぇんだから、たまにくらい構わねぇだろ」
先の言葉は自分に向けられたものと判断したらしい坂本が、ちょっとばかりふてくされたような声でそんなことを言ったので、長野は思わず吹き出してしまった。
「・・・ぷっ。あはは。それって俺のこと結構頼りにしてくれてるってこと?」
「当たり前だろ。お前以外に誰を頼れってんだ、俺に。頼りにしてるよ、お母さん」
「坂本くんまでそんなこと言う」
笑いを苦笑に変えた長野に口元だけで笑って返して、坂本はさっきまでの砕けた表情とは対照的に、真摯な顔とかすれ気味の声で囁くように密やかな独白をした。
「・・・俺は、そんなに強くねぇんだよ」
何処か自虐的な色を含んだ嘲笑とその言葉。
どれだけ密やかに囁いても、長野の耳元で発せられた言葉である。
その独白はしっかりと彼の耳に届いた。
表情も長野から見えることはないが、今坂本がどんな顔をしているのか、見ずとも彼には分かっていた。
そして今、自分が言うべき言葉も。
「・・・・・・」
返答をする前に少しの沈黙を置いてから、長野は首に回された腕を子供をあやすようにポンポンと叩き、ただ一言、
「分かってるよ」
とだけ言って、だから自分が側にいるんじゃないかと心の中で呟いた。
その長野の声が限りなく、酷く優しかったので、不覚にも坂本の目の奥はつんとした。
「・・・やっぱお前ってオアシスだわ」
しみじみと耳元で呟いた坂本の言葉に柔らかく微笑んで、長野は明るく答える。
「リーダーのグチを聞くのも俺の仕事だからね」
「・・・恐れ入ります」
かなわねぇな、本当。
くつくつと、体を震わせて笑う坂本にもう大丈夫そうだね、と心の中で唱えて長野は部屋の壁掛け時計を見上げた。
撮影開始までにはまだもう少し余裕がある。
「まだ時間あるし、もう少し寝てたら?」
「おう。お言葉に甘えさせて貰うわ」
素直に頷いて長野の首に回していた腕をまた腰の方へと回し直した。
この方が体勢的に楽だし、何より長野の負担が減るだろう。
目を閉じて眠る体勢になった坂本だが、ふと自分が一番大事な一言を言っていないことに気づいてもう一度目を開いた。
少しの逡巡の後、照れくさそうに長野の耳元でぼそっとぶっきらぼうに呟く。
「・・・さんきゅー、な」
その突然の感謝の言葉に一瞬目を見開いて驚きの表情を浮かべた長野は、その後嬉しそうな穏やかな笑みを浮かべてはにかむ。
「・・・どういたしまして」
穏やかな時間は、楽屋の中をゆっくりと流れていた。
『・・・やっぱりうちのツートップはこうじゃなきゃね』
こっそりと片目を開けて、気付かれないように長野を見上げる。
嬉しそうに柔らかく微笑む彼に自然と井ノ原の顔もほころんだ。
実は先の坂本同様、寝たふりをしていた井ノ原は二人のやりとりを見て満足そうに微笑んでいた。
『夫婦が揃って笑ってれば家庭内は円満、なんつってね』
阿吽の呼吸の二人を夫婦に例えるのは彼らにとってはいつものこと。
自分は長男で、そしてカミセンの三人がその後に続くのだ。
・・・さて、それじゃあ後は甘えん坊の長男は最後まで甘え通しますか。
今度こそは本当に眠るために、井ノ原はうっすらと開いていた片目をもう一度閉じた。
『おやすみ』
目が覚めた時も二人が優しく笑っていますように。
そんな想いを込めてから、井ノ原は眠りの中に落ちて行った。
「・・・あのさー」
「みなまで言うな」
「多分こればっかりは突っ込んだらあかんねんて健くん」
トニセンの楽屋を扉の隙間からこっそりと覗いてひそひそと会話を交わしている人影が三つ。
言うまでもなくカミセンの三人組である。
今日の収録は六人全員の仕事で、しかし楽屋はトニセンとカミセンで一部屋ずつの振り分けになっていた。
そんなわけで彼らは自分たちの楽屋で大人しくしていたのだが、待ち時間の長さに退屈になりトニセンの楽屋まで遊びに来た所なのであった。
それが部屋を覗いてみれば広がっていた光景はなんとも言い難いもので。
三人は一様に固まってしばらくその光景をぼけっと眺めていた。
で、ようやく出た言葉が先の言葉なのである。
「・・・いーなー」
「・・・って羨ましいのかよ、オイ」
「いーじゃんちょー羨ましい。俺も混ざりたいー!!」
「三人の邪魔したったらあかんて」
剛と岡田に止められて健はなんだよーと不機嫌を露にした顔でぶすくれる。
そんな彼に二人は顔を見合わせて苦笑した。
「しっかしホンマ博オカンみたいやなぁ」
男二人を寝かしつける長野の姿に純粋に感嘆の声をあげる。
実はちょっと羨ましいと思っているのは岡田も同じだったりする。
「つーかなんだよあれ。坂本くんも井ノ原くんも甘えすぎだっつの」
大の男二人が甘えて縋る姿に呆れたような声を上げた剛だが、やはりこちらも多少羨ましいと思っているらしい。
向けられた視線には確かに羨望が混じっている。
「ずーるーいー!!俺も混ざるっ!!」
「あ、オイ!健!!」
「健くんアカンて!!」
二人が止めるのも間に合わず、健はドアを開けてさっさと入って行ってしまった。
「長野くーん!」
「え?健?」
急に顔を見せた訪問者に少なからず驚いたような表情で長野はその名前を呼ぶ。
「俺も混ぜてよー!!」
「健、二人共寝てるんだから静かに」
「あ、ごめん」
しーっと指を口元で立てた長野に素直に謝って、足音を立てないように近づく。
そして気づく、穏やかな顔で眠る二人に。
「・・・すっげー幸せそうだし」
「はは。二人ともお疲れなんだよ」
だから寝かしてやって、と笑う長野に健は素直にこくりと頷く。
しかしその表情は何処か冴えない。
「健?」
「・・・やっぱずるい」
「は?」
先の井ノ原と似たようなことを言った健に、やはり同じような反応を返す長野。
・・・ずるいってまさか。
「俺もぉ〜」
「えっ!?」
言ったが早いかごろりと寝転び井ノ原に並んで(そしてちょっと井ノ原を横にずらして)長野の膝に頭を乗せる。
「・・・健」
「俺だって疲れてるもんっ!二人ばっか甘えるのはずるいじゃん!」
・・・本当に言ったよ、この子は。
健が言いそうな台詞だと思っていた井ノ原の台詞をまんま言った健に、最早呆れを通り越して感嘆のため息すら漏れる。
こうなった健を説き伏せるのは最早無駄な努力だろう。
そう悟った長野は「分かったよ」と苦笑して健の髪を撫でた。
「時間までだからな」
「えっへへ〜」
本当に嬉しそうに笑った健に苦笑を返して、そしてすでに気づいていた二人の存在に声をかける。
「剛も岡田も、入っておいで。こうなったらみんなで昼寝だ」
扉の外から中を窺っていた二人は気まずそうに顔を合わせて、おずおずと中に入ってきた。
「気づいとったんか」
「もしかしてバレバレだった?」
「健が入ってきた時点でね」
ふふ、と笑った長野にバツが悪そうに頭をかく二人。
しかしそれもすぐに微笑みに変わり、二人は長野の両サイドについて背中を凭れ掛けた。
「それじゃお言葉に甘えて」
「お昼寝、やな」
「はいはい。おやすみなさい」
『おやすみなさ〜い』
健も合わせて三人の元気な挨拶に長野は苦笑を返す。
どうやらこれで自分は五人の枕に決定らしい。
まぁ自ら許可を出したわけだけれども。
「・・・なんだか筋肉痛になりそうだよねぇ」
そんな密やかな呟きを漏らして、長野は困ったような笑顔のまま壁掛け時計をぼけっと眺め続けた。
「・・・大変ですね」
「まぁいつものことですから」
出番を知らせに楽屋にやってきた番組スタッフが一瞬固まった後、開口一番に言った言葉はそれだった。
流石はお母さん。
彼が飲み込んだ言葉には気付かないふりで長野は苦笑すると出番なんですよね?と確認を取る。
「あ、はい!すみませんが・・・」
「じゃあ起こさないと・・・」
自分にまとわりついている男が五人。
当然長野は動ける状態ではないわけだが。
「ちょっと耳塞いどいてもらえますか?」
「へ?」
「煩いと思うので」
「???」
訳が分からないながらもスタッフの青年は言われるまま素直に耳を両手で塞いだ。
「・・・それでは」
こほん、と咳払いしてからすうっと大きく息を吸う。
そして。
「ぅ起きろーーーっ!!!」
楽屋に響き渡る大絶叫。
「なっ?!ななな?!」
一番に反応を示して慌て体を離したのは坂本。(なんせ一番近い所にいたのでダメージが一番大きかったのだ)
「うへ?!何?!何事よ?!」
次に跳ね上がるように体を起こして井ノ原。
「ふえっ?!」
まだ寝ぼけ気味の声を上げたのは健で。
「んな・・・なんやっ?!」
目を擦りながら岡田。
そしてワンテンポ遅れて
「・・・うるせー」
と不機嫌に呟いたのは剛である。
「みんなお早う。早速だけど本番みたいだからしゃきっと目覚ましてね」
有無を言わせずにっこりと笑う長野に五人揃って同じことを思う。
『・・・もしかして、この人怒ってない?』
きっとそれは当たらずとも遠からず、である。
そんなに長い時間ではないとは言え、男五人の枕状態にされてずっとじっとしていたのだ。
ストレスの一つも溜まると言うもの。
こういう時の長野に逆らわない方がいいのを暗黙の了解で分かっている五人は素直に起き上がり、身体を動かし始める。
「うーし、撮影だ!その前にみんな顔洗いに行くぞ!!」
『はい!!』
坂本の言葉に妙に体育会系な返事を返して五人はそそくさと楽屋を出ようとする。
が、静かに響いた長野の言葉にぴたりと足を止めた。
「・・・みんな、何か忘れてない?」
浮かんでいるのはいつも以上ににこやかな笑顔。
否、にこやかでいてにこやかではない笑顔。
本能的に五人は恐怖を覚え、指の先までぴっちりと真っ直ぐにして直立不動の後、きっかり90度に腰を曲げてやはり体育会系なリアクションを返した。
『ありがとうございましたー!!』
「よろしい」
尊大な態度で満足げな返事を返した長野を確認してから五人はあわあわと楽屋を後にした。
そしてぽつりと残されたのは長野と、どうコメントを返したらいいのか分からず困ったような顔をした男性スタッフのみ。
彼は考えに考え抜いて、とりあえずこんな言葉を口にした。
「・・・すごいですね」
それは何に対しての感嘆の言葉なのか。
本人も微妙に理解していない言葉に、しかし長野はにっこりと笑って最初とまったく同じ答えを返す。
「まぁいつものことですから」
流石はお母さん。
今度ははっきりと顔に表れたその反応を目にして、長野はくすりと笑った。
『俺がお母さんに見えるのはあの五人がいてからこそだからね』
それは喜ばしいことと言えるのかもしれない。
五人がいてこその長野であり、また長野がいてこその五人なのだ。
甘えられる・・・つまりそれだけ心を許し、頼りにされていることを長野は誇りに思う。
イコールこのグループを誇りに思うことに繋がるのだから。
「みんなが戻ってきたらすぐスタジオに行きますから」
「あ、はい。お願いします」
すっかり本題を忘れていたことに気づいて彼は慌てて頭を下げた。
先にスタジオに戻るために楽屋を出ようと扉を開けかけた時、聞こえた長野の言葉に一瞬だけ足を止める。
「さて、タオル持って行ってなかったし用意しとかなきゃだよねぇ。全く慌てすぎなんだから」
・・・結局行き着く結論は母は強し、と言うことか。
「坂本く〜んそういやタオルはぁ〜?」
「あ、持ってきてねぇじゃん!」
「うえー?!洗う前に気づいてよ!!」
「このまま楽屋に帰るんか?!」
「うひゃひゃ、どうせ長野くんが用意してくれてるでしょ」
「・・・仕方ねぇ。戻るか」
『ういーっス』
そして迎えてくれる苦笑交じりの笑顔に安心して、彼らは笑い返す。
それが彼らのいつもの風景。
穏やかな時間が流れる、ぬくもりのある場所。
END.
びっくりだよ、えらい長くなっちまった。(汗)
最初はトニセンだけで終わるはずだったんですよ。
えぇ例によって例の如く。
そしたらどういうことかカミが出てきてずるずると長くなる長くなる。
どうして俺は途中で止めれらへんねやろ・・・(遠い目)
っつーか勝手にキャラが動き出すんですよ!!
トニがでればカミが出てきて、カミが出てればトニが出てくる・・・
さすがV6と結論付けて無理矢理納得しましょう。(笑)
内容については・・・うん、長野氏はお母さんだよなってことです。(断言)
それだけ包容力と許容量があるんだなって。
そして坂本氏にへたれてもらった。
ぶっちゃけへたれなまーくん好きです。(笑)
とにかくなんとなくみんなで長野氏に甘えてる所を書きたくなったんです。
・・・ダメでしょうか?(笑)