理由なんてないんだ。


楽譜上で言う小休止。


ただ、それだけなんだ。


ほんの少しだけ、心が疲れたんだ。


だからほんの少しだけ時を止めて、この雨に身を委ねていた。













でも、そういうマイナスの気分って、伝わるものなのかな。


・・・ううん、この人だから伝わったのかな。


特に言葉に出して言ったつもりも、態度にすら出したつもりさえなかったのに


気付けばその人は俺の傍に立っていて、一緒に雨に打たれていた。


何も言わずに、ただ俺と同じように立っていた。








「・・・風邪ひくよ?」



「そりゃお互い様だろ」








返って来るぶっきらぼうな声。


でも、本当は分かってるんだ。


この人が誰よりも優しくて、俺のことを心配してくれていることを。


そういう風に暖かい気持ちを俺にくれることを。


そしていつだって、寄りかかることを許してくれることを。








「・・・じゃあもう少しだけ、付き合ってくれる?」



「風邪ひかない程度ならな」



「はは。ありがとう」








一緒に居ることが苦にならない相手。


隣に立っているのが当たり前になっている相手。


多分今は誰よりも、身近にある存在。








「・・・助けられっぱなしだよね、ほんと」



「あ?なんか言ったか?」



「ううん。なんにも」



「そうか?」








いつの間にか重々しい気さえしていた雨音は


耳に心地いいリズムに音を変えて。


優しい雨と、優しい彼に甘えるのも悪くはないと思った、




ある夏の雨の日。












END.





MIDI By.「夏の雨」 LUNA(Blue Moon Rain)
Background Image By.NOION






■Comment.

素敵なMIDIを見つけて、使わずにはいられませんでした。
内容はそのMIDIからインスピレーションを受けて書いたもんです。
なのでものっそい季節外れですんまそん。(笑)
この二人には常に支え、支えられの関係でいて欲しいなぁと思う光騎@管理人。
あ、名前出してないからアレですがツートップですよ。
一応コンビ投票の結果を受けてのツートップ小説と言うことにしておきます。
(しておきますってアンタ・笑)