ありゃ?っと首をひねった。

ひーふーみーと指折り数えた。

はて、何かを忘れている気がする。

なんだろう?












携帯をチェックしてみた。

スケジュール欄にも特に記入された文字はない。

さて、俺は一体何を忘れているのだろうか。














いつもどおりに仕事を終えて。

くたびれた顔で家に入る。

待つ人の居ない、男の一人暮らしなど寂しいものだ。

かといって、今は特定の誰かと恋愛をするつもりもなく。

寂しいとは思いつつも気ままでいいと思ってしまうのは年だろうか。

そんなこと言ったら約一名(いや、二名だろうか)に怒られそうだが。



[ガタガタガタガタガタ・・・]



と、テーブルに置いた携帯が振動して派手な音を立てる。

時間はちょうど深夜0時。

静かな空間に突如として響いた音に動揺してしまった自分がなんだかちょっと悔しい。

それはともかくとして、振動の収まった携帯を手に取る。

どうやらメールが届いたらしい。

折りたたみ式の携帯をぱかりと開ければ、新着メールの文字。

ボタンを押し込んでメールを開いてみれば、送信者の名前はよく見知った人間のもの。

そして。











「・・・あ、なんや。そういうことか」











忘れていた何かにようやく気づいた俺は小さく笑った。

携帯の画面に躍る文字は、


『Happy Birthday 岡田』


というシンプルな一文。

しかもメールの着信はそのあと四回も続いて。

送信者の名前はやはりどれも見慣れたものばかり。

どうやら今日と言う日を忘れていたのは、自分自身だけだったらしい。

それがなんだかおかしくて、俺はらしくなく声を上げて笑った。








暖かい気持ちと暖かい言葉に包まれて。


ここまで自分は幸せなんだと、初めて知った24回目のバースデー。










COMMENT.

我ながら非常に面白くもなんともない文だと思う。(爆)
だからどうした?的なツッコミが入れやすい分ですね!(開き直り)
・・・もっと精進します。(笑)


Background Image : Simple@Ism