木俣の結婚披露会に呼ばれた。


ついこの間出会って即恋に落ちた婦警のあの子とのスピード結婚だ。
電車好きのアイツらしい、新幹線並みに速い恋愛→結婚。
俺としては本当はあんなバカップルの結婚式になんか出たくなかったんだけど、
友達だろって泣きつかれちゃったんだからしょうがない。
うん、しょうがない。



披露会当日。
やっぱりあの二人は見てる方が恥ずかしくなるような相変わらずのラブラブっぷり。
けど来賓の人間は明らかに二人よりもブライダルトレインに興味津々で。
みんなが電車ばかりを写真に撮るせいで悔しそうな顔したアイツを、一応持って来てたデジカメですかさず狙ってやった。
ぷっ。
間抜け面。
新郎ならもっとしゃんとしてろよな。
…あ、アイツがこっちに気づいた。
かなり驚いた顔だ。
ファインダーから覗く、花婿衣装のおかげでまぁいつもよりはいくらか頼りがいがあるように見える気がする姿。
だから、俺はシャッターを押した後、目があったアイツに笑って返してやったんだ。
ちょっとの嫌みと祝福の気持ちを込めて。




…なんか、俺ってもしかしてお人好し?





結婚おめでとう、木俣。

とりあえず祝福してやるよ。

だから目一杯、幸せにな。



From.佐川豊




* Kohki's Comment *

映画を観終わった後、どうしてもラストの佐川の心情を描写してみたくなったので即席数分で書いた短文。
シナリオブックを読んでみたら佐川と木俣はレンタルビデオショップの店員で先輩・後輩の仲なんだそうで。(佐川が年下だけど先輩)
なのでキャラクター的にはちょっとお兄さんぶっているというか、年上だけど頼りない木俣を見守る感じのキャラクターで書いてみました。
イメージと違ったりしたら申し訳ない限り。(汗)


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