ステージに立つ、その緊張感は今も変わらない。

けれど不安感は不思議と無く、常にそこにあるのは安定感だ。
理由は分かってる。
そのステージに立っているのが自分一人だけではないからだ。

初めてその存在の有難さに気づいたのはいつの事だったか。
思い出せないけれど、痛感することは幾度と無くある。
隣に居ると居ないとでは全く違う。
自分がここまで他人を頼りにするのは珍しいと思う。

「光一？なんや珍しい。もしかして緊張しとるん？」

噂をすれば何とやら。
ひょっこり現れた相手の言葉に苦笑する。
いつからか、隣に立っているのが当たり前になった相手。

「まぁ安心しぃ。もしお前がとちっても俺がおるしな」

フォローは任せとけ、と笑う頼もしい相方。
そんな時、俺たちは二人でこそ意味があるんだろうなと思う。