「いけ好かん奴やわ・・・」
それが初めて出会った時のお互いの第一印象だって言うから笑える。
まぁそれも無理は無い。
なんてったって出会った当初はお互い子供だったし、見た目も性格も全く正反対の人間だったから、気に入るはずも無かったのだ。
それが今じゃ不思議な話。
パズルのピースがかちりとはまりあったように、二人で一緒にいることが当たり前になってしまった自分に気づく。
世間様から見たら俺たちの関係は仲が良くないとかそういう風に捉えられるらしいけど、けど俺から言わせてもらえばそれは違う。
だって、これが俺たちにとって最良の、一番気持ちのいい距離なのだ。
だから誰に何を言われようとも、俺たちはこれでいいんだと思ってる。
それは、お前も同じやんな?
なぁ光一。
「・・・剛」
「んっ!?なんや!?」
もしかして俺の期待した答えをくれるのだろうか。
そう思って期待の眼差しと共に光一の呼びかけに答えてみたら、光一はとんでもなく嫌そうな顔で人のことを見てきた。
な・・・なんやねんその顔は。
「なんや?その期待した目は。お前、何さっきからにやにやした顔で人んこと見てんねん。気味悪いぞ?」
「ってなんやその言い草は!?気味悪いとはなんやねん!!大事な相方に向かって!!」
「はいぃ?」
「いや、そこ首傾げるところちゃうやろ、光一サン。俺は大事な相方やろ?」
「なんやねん急に。またお前はワケ分からんこと考えて自分の世界飛んでたんか?」
「ワケ分からんって失礼やなっ!!」
「まーええわ。とにかくもう時間やし、さっさと仕度せぇや」
時計を見てそう切り上げた光一。
なんやそれ。
むっちゃ納得できひん。
だけど時間が無いのは本当だし、俺も渋々頷く。
「・・・へいへい」
「おい、何ふてくされてんねん」
「えーですよ、なんでもないですぅー」
「うわ、めっちゃムカつくなぁその口調」
「へっ。どーせお前は俺んことなんて大事やないねんなっ」
「はぁ?」
「えぇですよ、どーせ暗い子で嫌われもんの剛くんですよー」
「なんやお前は。ワケ分からん」
「ワケ分からなくて結構ですー」
「こら、剛」
「むっ」
口を尖らせてそっぽを向いたら、くりっと光一の方を向かされた。
・・・エセ王子め、実力行使で来たか。
「は〜な〜せ〜や〜!!」
「離すか。お前が拗ねとる理由を言わん限りは離さんぞ」
「もーえぇっちゅーとるやろが!!」
「そーゆーわけに行くか!!」
「なんでやねん!!」
じたばたもがく俺VSひたすら押さえつける光一。
俺が半ギレでそう叫んだら、光一から返って来た答えは。
「そんなもん大事な相方やからに決まっとるやろが!!」
「・・・へ?」
あ・・・あれ?
やってお前、さっき・・・
「言いたいことがあるんなら、俺にくらいちゃんと話せや!!聞いたるから!!」
「・・・光一」
・・・だったらさっきの一連の流れはなんやったんや、オイ。
喉まで出かかった言葉を、ぐっと飲み込む。
そんなツッコミよりも何よりも、今は光一のその言葉がなんだかとても嬉しかった。
俺、ちゃんとこいつに認められてるんだなって、そう思った。
「・・・もぉえぇよ」
「は!?もうええってどういうことやねん!!」
「あ、ちゃうっ!!ちゃうで!!消極的な意味とちゃうねん!!」
「は?」
「もうえぇねん。お前も同じって分かったから」
「はぁ?なんやそれ」
「んふふ」
もう分からんなら分からんでええわ。
無意識でも勢いの言葉でも、その言葉をくれたお前は俺の自慢の相方や!
「そろそろスタンバイお願いします!」
「あ、はい。すぐ行きます」
「お願いします!」
「ほら、行くぞ剛」
「おん」
先に立って歩く頼もしい背中に、ふと思いついた言葉を急に投げかけてみたくなった。
だからその名前を呼ぶ。
「あんな、光一」
「ん?」
振り向いた光一に、にかりと笑いかけて。
「俺、結構お前んこと、気に入ってるからな」
などとこっ恥ずかしい事を言ってみた。
出会った当初は『いけ好かん奴』でも、今は全然違う。
今では隣に立ってることが当たり前の、唯一無二のパートナーに。
「・・・・・アホ」
「うわっ」
ちょっとした沈黙の後、呆れたような顔になった光一が人の頭を軽くどついてきた。
それかららしくなく、ちょこっとだけ照れてるような表情のままに言った。
「そんなん言わんでも分かっとるわ。何年付き合ってると思うねん」
「・・・んふふ」
以心伝心、なんて言葉はお互い柄じゃないけど、
それだけの信頼は置いているのです。
不安なことも、嫌なことも、そりゃあ山ほどあるけれど。
隣にキミが居るのなら大丈夫だって思えるから。
だから。
今日もよろしく。
大事な大事なパートナーさん。
コメント。
どうしてかKinkiさんを書くとこっ恥ずかしい話になるんですが。(笑)
前にも書きましたが基本的に俺は昔からのなじみで二人を兄弟みたいに見てる所があるので、根本にあるのは甘えたな弟つよっさんと出来たお兄ちゃんの光一さんなんですよ。
だから俺のKinkiさん小説は基本こんな感じです。(笑)
それとKinkiさん小説は個人的に会話のテンポが命だと思っているので、ぽんぽん弾む会話を楽しんでいただければ幸いです。(笑)